南三陸のさんさん商店街にある『 阿部茶舗 』は明治41年創業のお茶屋さんで、地域の人々から愛され続けている老舗中の老舗である。現社長の阿部さんが四代目になってから今年で約20年を迎える。大手流通会社でサラリーマンとして働いたのち、家業を継ぐことになったのだという。

お茶の袋詰めや配達からスタートし、静岡県産のお茶を、香りとコクと色を組み合わせて独自にブレンドして販売していたそう。実は、ひとつの茶畑から採れた茶葉だけよりも、ブレンドしたほうがより深みのある美味しいお茶になるのだそう。しかしながら、時の流れとともにお茶の販売量が減少していく。新しい試みとして喫茶スペースなどを考案している矢先に、あの震災が起きた。

街がまったく機能しなくなったなかで、自治会を立ち上げて自主運営し、仮設の商店街で5年間営業することになった。その後、さまざまな課題が立ちはだかるも仲間と共に乗り越え、待ちに待った常設の商店街がオープン。震災から6年、ついに新しいスタートを切ったのである。