雪がぱらぱらと舞う寒い夜に文化横丁をぶらり。
ひと際清潔感のある外観に魅かれ店内に入ると、
まず目に飛び込んでくるのはカウンターの端から端までずらっと並んだ日本酒。
聞けば、並んでいるのはごく一部だそうで、
全部で120種類ほどあるという。
特徴的なのは、
地元宮城のお酒は取り扱っていないこと。
見たことがない日本酒を揃えることで、
そこから始まるお客様との
コミュニケーションを大事にしている。
店主の大石さんのこだわりは
外観や内装だけにとどまらず、グラスや
箸置き、お皿などどれもこれもお洒落だ。
約50種類の豊富なメニューの中からおススメのお料理とそれに合わせた日本酒をいただく。
お通し(500円)のおでんがいきなり最高に旨い。
熱々で味がしみしみのおでんが冷えた身体に沁み渡る。
ヤリイカのからすみ和え(950円)はキラキラと輝く黄金色が美しい。
店主の自家製からすみは程よい塩気と旨みで、ヤリイカが一段と深い味わいになっている。
兵庫の山廃吟醸純米香住鶴を冷やで合わせると上品な香りが口中に広がる。
しいたけブルーチーズ焼き(800円)はとろとろ熱々。
噛むとしいたけのダシがじゅわっと出てきてそれとチーズが合わさって美味しさ倍増。
ブルーチーズの香りが圧倒的になるかと思いきやしいたけの香りも負けていない。
穴子の白焼き(1,200円)は、少し焦げ目のついた皮が食欲をそそる。
揚げ焼きに近いそうで、噛むとパリパリと音がする。
それでいて身はふっくらしていて、旨みがぎゅっと閉じ込められている。
塩加減も絶妙で、純米酒磐城壽とよく合う。
銀たらみりん焼き(1,200円)は、言葉を失うほどに旨い。
脂で照り照りの身は分厚く、しっとりと柔らかい。みりん焼きと言っても決して
甘すぎない。これに熱燗は抜群の相性だ。
店主曰く「お燗のお酒は熱々のご飯と一緒の感覚」とのこと。
銀たらをつまんでは熱燗をくいっと一口飲み、なるほどこういうことか、と
独特の表現に感心する。
新しょうがの肉巻き揚げ(800円)は衣が薄くてサクサク。
僅かな発泡感のある、なめらか熟成澤屋まつもとと合わせて。
すじこの酒粕漬け(800円)はまろやかな塩味でなめらかな舌触り。
酒粕の香りがほのかに香る。常温の山形正宗とともにいただく。
自家製〆サバ(850円)は、脂が乗っていてしっとり。酸味は控えめで上品な味わい。
なまこと金柑の酢の物(750円)は、なまこのコリコリした食感がたまらない。
金柑のスッキリした酸味でさっぱりいただける。
山形政宗うすにごりとグレーツフルーツの香りが料理とよく合う。
日本酒の銘柄だけでなく、
温度やグラスなどにも気を配ることで料理との相性は
さらに良くなりより美味しくいただけることを再発見した。
お客様の間では「大石塾」と呼ばれ日本酒を学ぶ場としても愛されているのも納得だ。