Please reload

 名勝天然記念物「厳美渓」の名物といえば、言わずと知れた郭公だんごである。店の二階から対岸にケーブルを架け、川を横切って篭で運ぶスタイルから、空とぶだんごとも言われている。

 

 創業明治38年の老舗『郭公だんご』の歴史は、現在の4代目店主の千葉晴夫さんのお爺様にあたる千葉酉吉さんが、観光客のために団子を作り始めたことから始まる。カッコウの鳴き声が本物以上に上手くて、近所の子どもたちにカッコウ爺さんと呼ばれていたことから「郭公だんご」と呼ばれるようになったそう。幼い頃から手伝いをしていた晴夫さんは「勉強しなくてもいいからここは残しなさい」と言われ続けていたという。

 長年作り続けている団子ではあるが、今でも作り方を毎日研究しているというから驚きだ。平らに切ったつきたてのお団子が一串に5個。味は、みたらし・ごま・あんこの3種類。モチモチでやわらかくどれも美味しい。中でも、甘さ控えめのみたらしが絶品だ。作りだめもしておらず、食品添加物、合成保存料を一切使用していないため保存がきかない。

 

 開放感のある店内で、ダイナミックな景色を眺めながらほおばる団子はとびきり旨い。「扉があるから泥棒が入ってくるんだ」と笑いながら話す晴夫さんのジョークもまたいい。

 お母様は職人でこだわりの人だったという。「その味を超えられないからお茶を乗っけることにした」というのはご謙遜で、お客様からのお茶が欲しいな~という願いを叶えるべく、篭にお団子と共にお茶を乗せて運ぶようになった。一滴もこぼすことなく対岸に運ぶのはもはや神業!この日はすでにお団子が完売していたものの、空飛ぶだんごを楽しみにきた観光客のために、空っぽの篭を何度も行ったり来たりさせていた。そのたびに、対岸からは「キャー!」という歓声が上がり、初めてみる空飛ぶだんごのスタイルに興奮していた。

 

 とにかくサービス精神が旺盛なのは、二階にある壁を覆い尽くす写真の数々が物語っている。それぞれの写真の想い出を楽しそうに話す晴夫さん。聞けば一緒に撮った写真をその場ですぐプリントアウトしてお客様にプレゼントしているという。「思い出を渡したいから!」とわたしたちにも写真をくださった。見るたびに、その時の楽しい気持ちや嬉しい気持ちがよみがえる最高のプレゼント。

 お客様はここに遊びに来ているのだから、自分も一緒に遊んで楽しもうという感覚でいるんだそう。確かに、お客様と笑顔で話をしている姿を見ると、もはやこれは仕事ではなく趣味なのかもしれないと思わせるほどである。「お客さんはみんな親戚になっちゃうんだよね」仲良くなったら責任をもって仲良くするのが晴夫さん流。そのせいか、初めて会ったのにそんな気が全然しないのは。数多くの有名人もここを訪れていて、人懐っこい笑顔とその優しい人柄に、ファンになる人が続出!まさに現代の人たらしと言えよう。

ここに来れば、変わらぬ景色と、変わらぬ笑顔に会える。今度はツーショット写真をおねだりしてみよう。きっと、素敵な笑顔で横に並んでくれるに違いない

■SHOP DATA
【店名】    郭公だんご
営業時間】  9:00~16:00(3~11月) 
【定休日】     不定休
【TEL】               0191-29-2031
【住所】            岩手県一関市厳美町滝ノ上211
               

月刊飲食人

Tel: 022-399-9321  (ゾウケイ社内)

info@zo-k.co.jp

    Copyright © I【  INSYOKU-JIN  】 ATERUI PLANNING inc. All Rights Reserved.