
南三陸のさんさん商店街の一角にある『 創菜旬魚 はしもと 』は、地物の新鮮で美味しい食材を提供している 、ミシュランガイド宮城掲載店である。店主の及川さんは漁師の家に生まれ、幼い頃から船に乗る機会も多く、南三陸の海の恵みを体感してきた。この豊富な食材を多くの方に知ってもらいたい、伝えていきたいという想いが料理人を志した理由だそう。
調理師の学校を卒業後は、仙台や地元のホテルで調理の仕事をし、和食の腕を磨いてきたという。そして、震災後に「自分の店を持つ」という大きな夢を叶えた。仮設店舗で5年、現在の店舗になり今年で4年目となる。落ち着いた雰囲気の店内は、テーブル席の他に座敷席もあり、広々とした空間でゆったりと寛げる。

「キラキラ春つげ丼(1,630円税別)」はめかぶの天ぷら・めかぶ酢の物・味噌汁・お新香付。お皿に見立てたホタテの貝殻には、海老やサーモン、タコなどの新鮮な海の幸が勢揃い。さらに、その皿の下には、美しい春が広がっていた。鮮やかな黄色が眩しい錦糸卵と、きらきら光るイクラがたっぷりのちらし寿司。赤、緑、黄のカラフルな色彩に一気にテンションが上がる。そういえば、季節が冬から春に変わる時もこんなふうにドキドキするなぁとふと思う。さっそく一口ほお張る。「あ~、美味しい!」イクラがぷちっとはじけるたびに旨みが広がる。食べすすめるとさらにあったかい幸福感に包まれていく。そして驚くべきは、丼にも負けない存在感を放っている、肉厚めかぶの天ぷら。サクサクの衣とぬるっコリっとしためかぶの食感がおもしろく、甘口の特製ダレとの相性も良い。風味豊かな磯の香りを存分に楽しめる最高に旨い逸品だ。これを脇役にしておくのはもったいない。

「海鮮丼(1,780円税別)」は、ご飯が見えないくらい旬の魚介類がたっぷり乗った、見た目も豪華で贅沢な丼!盛付けも美しく食べるのが惜しいほどだ。ツヤツヤとした脂の乗った魚たちは期待を裏切らない最高の旨さ。海の幸の味が一度に味わえる間違いなしの丼である。
「海老天丼(1,200円税別)」は、さっくり揚げたプリプリの海老が3本もそそりたっている!特製ダレとの相性も抜群でもう箸が止まらない。



「たこしゅうまい(500円税別)」はひと口では食べきれないジャンボサイズ。アワビやウニを食して大きく育つ志津川湾のタコは、身が締まっているうえ味わい深く「東の横綱」とも呼ばれているそう。アワビやウニを食べるタコとは、なんと贅沢なタコなのだろう!歯ごたえのあるタコとジューシーな豚肉がたっぷりの魅力的な味わいがたまらない。
「三陸産水ダコ刺し(680円税別)」はみずみず しくてやわらかいが、程よい弾力もあり噛むほどに旨みを感じる。心ゆくまで南三陸の美味しいものを味わい、贅沢なランチタイムとなった。「自信のある食材を自信を持って提供していきたい」と力強く語るのは、店主の及川さん。
次回は、南三陸のウニを贅沢にのせた店主イチオシの「キラキラうに丼」を食べるべく、夏に訪れてみることにしよう。

