生産者の思いを伝えたい!
店名の『イルミオカンポ』は一度聞いたら忘れられない独特の響き。イタリア語で私の畑の意味で、生産者さんとお客さんとを料理を通してつなげていきたいというシェフの強い想いが詰まっている。ご夫婦で営んでいるアットホームな雰囲気もとても素敵だ。
シェフは仙台の某有名イタリアンで腕を奮っていた経験もある本格派。もともと職人に憧れていたのもあり、高校生の時に、フランス料理店の知人に直接話を聞いたのを機に、料理人を志したという。東京、仙台、北海道とさまざまな地域で料理の腕を磨いてきた。「飲食店って何だろう?」と深く掘り下げて考えるきっかけになったのは、あの震災だった。
生産者・お客様・飲食店、このトライアングルで成り立っていることを痛感したのだという。そして、仕事でしかなかった料理が生き様へと変化した。
現場には食材だけでなく「人」とそれぞれの想いがある。「生産者の想いを伝えたい!」「作るを伝えるみんなの食堂」それが『イルミオカンポ』のコンセプトとなった。伝え人としての役割を一手に担っている。
素材本来の味を活かした料理
パスタランチ(1,450円)とパンランチ(1,350円)を季節のデザートセット(+580円)と合わせていただく。
季節のスープは、優しい甘さの人参スープ。ふわっと香るクミンの香りがいいアクセントになっている。
季節の前菜盛り合わせは、たっぷり15種類の野菜で、まるで野菜畑のように鮮やかに賑わっている。まさに宮城のおいしいがこの一皿に大集合!シャキシャキの野菜はそれぞれに味が濃く個性があるが、ビーツのドレッシングが見事に全体をまとめている。
食べ進 めるごとにカラダの中からキレイになっていく感覚だ。旨みが凝縮したジャパンX自家製ベーコンもひときわ存在感を放っている。実に満足感の高い一皿である。
季節のパスタは手打ちパスタをチョイス。パスタとは思えぬ力強い歯ごたえに思わず「お!」と声が出る。カボチャ、ズッキーニ、長ネギなどの素材の味を活かしたあっさり塩味。ラー油のような唐辛子をかけて味の変化を楽しんでも良し。
パンランチは、メゾンカイザー仙台さんのフォカッチャと全粒粉パン。罪悪感ゼロで食べ進められるパンに一同ご満悦なのである。
程よい酸味の自家製フルーツビネガーをお口直しにいただき、最後はお待ちかねのデザート「タルトタタンとジェラート」。甘すぎずしっとりした口当たりと爽やかな酸味、ワンホールで食べたいと思えるほどに美味しい。
季節感満載のランチコースをゆっくり時間をかけていただくことができた。
ここにしかない味を求めて
ランチを終えたお客さ んがディナーを予約している様子を目の当たりにした。ここでしか味わえない味に魅了されたのであろう。「“食”は人間の根源で、それに携われるのは素晴らしいことです」と力強く語るのはシェフの島津氏。食材の価値を上げるために手間をかけることを惜しまない。だからこそお客様の心をグッと掴んで離さない。
そして、お店のコンセプトでもある生産者さんの想いを伝えたい!という気持ちはメニュー表にもあふれており、数ページにわたって生産者さんの紹介がされている。
さらに、それだけにとどまらず、定期的に生産者さんのお話を伺う交流会も開催している。他にも、アート・音楽・健康に関するワクワクな企画が盛りだくさん!イベントを楽しみにしているお客様もどんどん増えているという。
まさに人と人とが繋がっていく場、これからますますこの輪が広がっていくことは容易に想像できる。ぜひ、生産者の想いとシェフの想いを、料理を通して感じて頂きたい。